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海外不動産の投資先はどこがいい?国・地域ごとに徹底比較
海外不動産は、市場によって経済成長や人口動態、賃貸利回り、流動性、税制、外国人の取得規制などの投資環境が大きく異なります。賃貸利回りや過去の価格上昇率だけでは、それぞれの特徴を十分に捉えることはできません。
このページでは、成長段階や市場特性の異なる11の注目市場(フィリピン、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、カンボジア、インドネシア、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドバイ)をピックアップ。日本在住の日本人個人投資家の視点から、客観データと相対評価を交えながら、各市場の強みや制約、投資目的との相性を整理します。
このページの見方
GDP成長率や人口、住宅価格、賃貸利回りなど、数値で比較できる項目は客観データを掲載しています。一方、キャピタルゲイン期待度や流動性など、単一の数値では判断しにくい項目については、複数のデータや市場環境を踏まえて5段階で評価しています。
海外不動産11市場の投資特性を一覧比較
まずは、経済成長、人口動態、キャピタルゲイン期待度、インカムゲイン期待度、流動性、市場透明性、政治・制度の7項目から、11市場の投資特性を一覧で俯瞰してみましょう。
| 市場 | 経済成長 | 人口動態 | キャピタルゲイン期待度 | インカムゲイン期待度 | 流動性 | 市場透明性 | 政治・制度の安定性 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| フィリピン | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| マレーシア | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| シンガポール | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| タイ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
| ベトナム | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| カンボジア | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
| インドネシア | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
| アメリカ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| イギリス | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| オーストラリア | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| ドバイ(UAE) | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
※5段階評価は各市場を相対比較したものであり、将来の投資収益を保証するものではありません。
数字で見る海外不動産11市場
各市場の違いを本質から捉えるためには、定量的データが不可欠です。ここでは経済成長、人口動態、過去の住宅価格上昇率、賃貸利回りという4つの指標から各市場を比較します。
過去10年と今後5年の経済成長率を比較
経済成長は、雇用や所得の拡大を通じて不動産需要を支える重要な要素です。ここでは、過去10年間の実質GDPの年平均成長率と、今後5年間の予測値を並べ、各市場のこれまでの成長力と今後の見通しを確認します。
| 市場 | 2016~2025年 年平均実質GDP成長率 |
2026~2030年 年平均実質GDP成長率(予測) |
|---|---|---|
| ベトナム | 6.2% | 6.2% |
| フィリピン | 4.5% | 5.6% |
| インドネシア | 4.2% | 5.2% |
| カンボジア | 5.3% | 4.9% |
| ドバイ(UAE) | 2.3% | 4.5% |
| マレーシア | 4.0% | 4.4% |
| シンガポール | 3.4% | 2.7% |
| タイ | 1.9% | 2.2% |
| アメリカ | 2.4% | 2.0% |
| オーストラリア | 2.2% | 2.0% |
| イギリス | 1.1% | 1.4% |
※IMFが2026年に公表した実質GDP成長率の実績値・予測値をもとに算出。各期間の実質GDPの累積変化を年率換算した年平均成長率(CAGR)です。2026~2030年は予測値のため、今後変更される可能性があります。ドバイはUAEのGDP成長率を使用しています。
長期の人口動態を比較
人口動態は、住宅需要を左右する重要な要素です。総人口の増減だけでなく、生産年齢人口の推移や都市化、世帯数の変化も不動産需要に大きく影響します。
| 市場 | 2024~2054年 人口変化率 |
|---|---|
| ドバイ(UAE) | +47.5% |
| マレーシア | +27.3% |
| カンボジア | +27.2% |
| オーストラリア | +25.0% |
| フィリピン | +17.0% |
| インドネシア | +14.1% |
| アメリカ | +11.4% |
| イギリス | +10.0% |
| ベトナム | +9.0% |
| シンガポール | +3.7% |
| タイ | -9.4% |
※国連World Population Prospectsの中位推計をもとに比較。ドバイについてはUAEの人口動態を使用。
過去5年間の実質住宅価格の変化率を比較
直近の市場の盛り上がりを知るうえで、過去の価格トレンドを把握することは参考になります。ただし、「過去の上昇=未来の上昇」を意味するわけではない点には注意してください。
| 市場 | 過去5年 実質住宅価格変化率 |
|---|---|
| ベトナム | +70.28% |
| ドバイ(UAE) | +67.54% |
| シンガポール | +19.06% |
| オーストラリア | +13.62% |
| フィリピン | +13.14% |
| マレーシア | +5.38% |
| アメリカ | +4.89% |
| タイ | +4.10% |
| インドネシア | -7.71% |
| イギリス | -12.19% |
| カンボジア | -22.52% |
※住宅価格の変化率は、物価上昇の影響を除いた実質ベースです。各市場で使用している住宅価格指数は、国全体を対象とするものと代表都市を対象とするものがあり、対象地域や住宅タイプは完全には統一されていません。そのため、数値は各市場の価格動向を比較するための目安としてご覧ください。
主要投資エリアのグロス賃貸利回りを比較
賃貸利回りについては国全体の平均ではなく、外国人投資家が実際に検討することの多い主要都市の代表的な投資エリアを比較します。原則として1ベッドルームのグロス賃貸利回り(表面利回り)を使用しています。
| 市場 | 比較エリア | グロス賃貸利回り |
|---|---|---|
| インドネシア | 南ジャカルタ | 8.05% |
| イギリス | ウェストミンスター | 6.33% |
| アメリカ | マンハッタン | 6.21% |
| カンボジア | BKK1 | 約6.0% |
| ドバイ(UAE) | ダウンタウン・ドバイ | 5.72% |
| タイ | ワッタナー(スクンビット) | 5.57% |
| フィリピン | タギッグ市(BGCを含む) | 5.00% |
| オーストラリア | シドニーCBD | 4.32% |
| マレーシア | KLCC | 3.83% |
| シンガポール | オーチャード/リバー・バレー | 3.66% |
| ベトナム | ホーチミン1区 | 約3.4% |
※グロス利回りは、年間賃料を物件価格で割って算出した表面利回りです。税金、管理費、修繕費、空室期間、仲介手数料などのコストは含まれていません。また、ベトナムとカンボジアは他市場とデータの対象範囲や集計条件が一部異なるため、参考値としてご覧ください。
成長・収益性と安定性の2軸で比較
海外不動産市場では、成長性や利回りが高い国ほど、流動性や法制度の面で途上であるケースが多く見られます。そこで、経済成長・人口動態・キャピタルゲイン期待度・インカムゲイン期待度をもとにした「成長・収益性」と、流動性・市場透明性・政治や制度の安定度をもとにした「安定性」の2軸で、各市場の特徴を比較します。
フィリピン、ベトナム、インドネシアなどは、経済成長や人口動態を背景に成長・収益性で強みを持つ一方、流動性や市場透明性に課題を残します。対して、シンガポール、アメリカ、イギリス、オーストラリアは経済成長率こそ低めですが、中古市場の厚みや市場透明性、制度面の安定性が絶大な安心感をもたらします。
※本図は各市場の相対的な特徴を示したものです。税制や外国人による不動産取得規制は評価に含めず、別項目で比較しています。
税制上の特徴を比較
税制は、手元に残るネット利回り(実質利回り)に大きな影響を与える重要な要素です。海外不動産では、国や地域によって購入時・保有中・賃貸時・売却時にかかる税金の仕組みが大きく異なります。ここでは、日本在住の個人投資家が押さえるべきポイントをまとめました。
| 市場 | 税制評価 | 主な税制・費用 |
|---|---|---|
| フィリピン | △ | フィリピンで事業を行わない非居住外国人の賃料収入には、原則25%の最終税。資本資産に該当する不動産を売却する場合は、売却価格または公正市場価格などを基準に、原則6%のキャピタルゲイン税が課される。 |
| マレーシア | × | 2026年1月以降、非市民・非永住者などによる住宅取得時の譲渡印紙税が原則8%。非居住者のマレーシア源泉の賃貸所得には30%の税率が適用される。 |
| シンガポール | × | 外国人が住宅を取得する場合、原則としてABSD(追加購入者印紙税)60%が課され、これとは別に通常の購入者印紙税も必要。 |
| タイ | △ | タイ国内の不動産から得る賃貸所得は非居住者も課税対象。売却時には、条件によって特定事業税3.3%や印紙税、源泉徴収などが関係する。 |
| ベトナム | △ | 賃貸収入には一定の条件のもとでVAT(付加価値税)・個人所得税がかかり、不動産売却時には一般に譲渡価格の2%を基準とする個人所得税が課される。 |
| カンボジア | △ | 不動産取得時には原則4%の登録税がかかる。賃貸収入についても、所有者や賃借人の属性に応じて所得課税や源泉徴収の対象となる場合がある。 |
| インドネシア | △ | 土地・建物の賃貸収入には原則10%の源泉分離課税、売却時には原則として譲渡額の2.5%が課される。取得時には最大5%の土地建物取得税も発生する。 |
| アメリカ | △ | 非居住外国人の賃料収入は原則30%のグロス課税だが、一定の選択により経費控除後の所得への課税も可能。売却時にはFIRPTAにより原則15%が源泉徴収される。 |
| イギリス | × | イングランド・北アイルランドでは、非居住者の住宅取得にSDLT(印紙税土地税)が通常より2ポイント上乗せされる。追加住宅に該当する場合は、さらに5ポイントの加算対象となる。 |
| オーストラリア | × | 外国人には州ごとの追加印紙税や土地税が課される場合がある。さらに、外国居住者が不動産を売却する場合、原則として売却額の15%が源泉徴収の対象となる。 |
| ドバイ(UAE) | ◎ | 不動産売買の登録料は原則として売買価格の4%。一方、個人所得税はなく、個人が通常の形で得る不動産投資所得は原則としてUAEの法人税の対象外。 |
※◎=税制面で非常に有利、○=比較的有利、△=やや不利、×=不利。本表は、日本在住の個人投資家による住宅投資を想定した相対評価です。記載した税率は代表的なものであり、実際の課税関係は物件の種類や価格、保有期間、居住者区分、所得状況、所有形態などによって異なります。また、現地での課税とは別に、日本で申告・納税が必要となる場合があります。
外国人による不動産取得規制を比較
世界的には、外国人であっても「資金さえあればどの物件でも自由に買える」という国はごく一部に限られます。たとえば東南アジアでは、コンドミニアムは取得できても、土地や土地付きの一戸建て住宅の所有は認められていない国が主流です。ここでは、取得の可否や外国人枠(所有比率)の上限、最低購入価格の制限など、事前に押さえておくべき主要な取得規制を一覧で比較します。
| 市場 | コンドミニアム | 土地・一戸建て | 主な条件・制限 |
|---|---|---|---|
| フィリピン | 条件付き可 | 原則不可 | コンドミニアムは外国人の所有比率が原則40%まで。土地の直接所有は原則認められない。 |
| マレーシア | 条件付き可 | 条件付き可 | 最低購入価格や州政府の承認など、外国人の取得条件が州ごとに定められている。 |
| シンガポール | 原則可 | 要承認 | 一般的なコンドミニアムは原則購入可能。土地付き住宅などの取得には承認が必要。 |
| タイ | 条件付き可 | 原則不可 | コンドミニアムは外国人所有比率が原則49%まで。土地の直接所有は原則認められない。 |
| ベトナム | 条件付き可 | 原則不可 | コンドミニアムは原則1棟の30%まで。外国人個人には50年という所有期間の制限もある。 |
| カンボジア | 条件付き可 | 不可 | 共同所有建物の専有部分を一定の条件で所有できるが、土地や建物の共用部分は所有できない。 |
| インドネシア | 条件付き可 | 権利形態に制限 | 外国人は使用権など認められた権利形態で取得可能。最低購入価格などの条件もある。 |
| アメリカ | 原則可 | 原則可 | 原則として外国人も取得できるが、州によって土地取得や特定の外国人に対する規制がある。 |
| イギリス | 可 | 可 | 外国人・非居住者による不動産取得そのものへの大きな制限は少ない。 |
| オーストラリア | 強い制限 | 強い制限 | 外国人は原則として事前承認が必要。2025年4月から2029年6月まで中古住宅の購入は原則禁止され、新築住宅や空き地などに対象が限られる。 |
| ドバイ(UAE) | 指定地域で可 | 指定地域で可 | 指定されたFreeholdエリアでは、外国人・非居住者も住宅や土地を完全所有権で所有できる。 |
※本表は、外国人個人による住宅取得を想定した一般的な比較です。実際の取得条件は、物件の種類や所在地、価格、国籍、居住資格などによって異なる場合があります。
投資目的別に11市場を整理
これまでの比較を踏まえ、「ご自身が何を最優先したいのか」という投資目的別に11市場を分類・整理しました。まずはご自身の目的に合うタイプをご確認ください。
| 投資タイプ | 主な市場 | 重視するポイント |
|---|---|---|
| 成長重視型 | フィリピン、ベトナム、インドネシア | 経済成長や人口動態を背景とした、中長期の住宅需要や価格上昇余地を重視する。 |
| インカム重視型 | インドネシア、タイ、アメリカ、イギリス、ドバイ(UAE) | 賃貸利回りや賃貸需要を重視し、保有中の家賃収入を収益の中心に据える。 |
| 安定性重視型 | シンガポール、アメリカ、イギリス、オーストラリア | 市場透明性や制度の安定性、中古市場の厚み、売却時の流動性を重視する。 |
| バランス型 | マレーシア、オーストラリア、ドバイ(UAE) | 成長性、収益性、安定性のいずれかに偏らず、複数の要素をバランスよく見る。 |
| 選別重視型 | カンボジア | 市場規模や中古流通が限られるため、賃貸需要だけでなく、将来の売却先まで見据えた物件選びが重要。 |
※各分類は市場の優劣を示すものではなく、それぞれの特徴を投資目的別に整理したものです。複数の特徴を持つ市場は、複数の投資タイプに含まれています。
各市場の特徴と注意点
フィリピン|経済・人口成長を背景とした中長期成長市場
若い人口構成と力強い経済成長を推進力に、中長期的な実需の広がりが期待される市場です。マカティCBDやBGC(ボニファシオ・グローバルシティ)は世界的な企業が集まりコンドミニアム需要も堅調な一方、中古市場の未成熟さや一部エリアでの供給過多には注意を払う必要があります。
マレーシア|成長性と安定性のバランスが取れた市場
東南アジアトップクラスの法制度とインフラ整備度を誇り、高い成長性と安心感を兼ね備えています。外国人の所有権が広く守られている安心感はあるものの、州ごとに異なる最低購入価格制限や、2026年から導入された外国人向けの印紙税の増税など、取得コストの変化には注意が必要です。
シンガポール|透明性と流動性に優れた成熟市場
アジアの金融ハブとしての高度な政治・経済の安定性と、抜群の市場透明性が魅力です。しかし、外国人の住宅購入時には60%という極めて重い追加印紙税が課されます。キャピタルゲインや高利回りを狙うというよりは、資産保全や通貨分散、あすいは移住を見据えた投資に適した市場と言えます。
タイ|外国人賃貸需要が支えるインカム型市場
バンコクのスクンビットなど、外国人駐在員の賃貸ニーズが厚いエリアでは、安定したインカムゲインが期待できます。一方、国全体の経済成長は緩やかで、すでに人口減少期に突入している点には注意が必要です。需要が途切れない好立地を厳選し、安定した賃料収入を確実に狙う戦略がカギとなります。
ベトナム|高い経済成長と都市化が続く成長市場
ホーチミンやハノイを中心に劇的な都市化と中間層の台頭が進んでおり、旺盛な住宅需要が続いています。しかし、過去数年で価格が著しく高騰していることに加え、外国人枠(1棟30%まで)や50年という所有年限ルールがある点には注意が必要です。成長性が高いからこそ、将来の売却まで見据えた冷静な物件選別が要求されます。
カンボジア|高い利回り余地と流動性リスクが併存する市場
米ドル建てで投資できる利便性と、プノンペン中心部での高い利回りポテンシャルが大きな魅力です。一方、中古市場の層が薄く、売却時の相手が限られやすい点には注意が必要です。購入検討の段階から、「将来いかにして出口を確保するか」を念頭に置いて選別することが重要な市場と言えます。
インドネシア|人口規模と賃貸収益に強みを持つ市場
大きな人口規模と経済成長、都市化を背景に、中長期的な住宅需要の拡大が見込まれます。ジャカルタなどでは比較的高い賃貸利回りが得られる物件もある一方、外国人による不動産取得には権利形態や最低購入価格などで制限があり、中古市場の流動性にも課題があります。
アメリカ|厚い中古市場と地域差が特徴の巨大市場
外国人の購入制限が少なく、世界最大級の中古住宅市場を持つことから、売却時の流動性は抜群です。ただし、地域ごとに固定資産税や保険料、州税などの保有コストが大きく異なるため、表面利回りではなく諸経費を差し引いた実質利回りでの検証が欠かせません。
イギリス|厚い中古市場と高い透明性を持つ成熟市場
ロンドンを中心に中古住宅の流通が活発で、市場の透明性や流動性は世界でもトップクラスです。外国人・非居住者による取得の自由度は高いものの、非居住者に対するSDLTの上乗せなど、購入時の税負担が重い傾向にあるため、長期保有を前提とした投資にマッチします。
オーストラリア|人口増加と住宅不足が続く成熟市場
移民の受け入れに比較的寛容なことから、先進国屈指の人口増加率を維持しており、主要都市では住宅需給のひっ迫が続いています。ただし、外国人の住宅取得に対する規制は厳しく、2029年6月までは既存住宅の購入が原則禁止されているため、新築物件などに選択肢が限られます。
ドバイ(UAE)|税制メリットと国際需要を持つ高収益市場
所得税・固定資産税・キャピタルゲイン税が無税という世界屈指のタックスメリットを持ち、世界各国から富裕層や駐在員が流入しています。ダウンタウン・ドバイ周辺などで比較的高い賃貸利回りが期待できる反面、近年は新築の大量供給によるエリアごとの需給変化が激しいため、立地の厳選が成果を大きく左右します。
まとめ|「最も優れた市場」ではなく投資目的から選ぶ
11市場を徹底比較して見えてくるのは、「あらゆる点で完璧な理想の市場は存在しない」という事実です。高成長な新興国は流動性や法制度に課題を残し、信頼度の高い先進国は取得コストや税負担が重くなる傾向にあります。
そのため、「利回りが良さそう」「値上がりしそう」という漠然としたイメージで選ぶのではなく、値上がり、賃貸収入、安定性、流動性のうち何を重視するのかを明確し、その目的に合った市場を選ぶことが失敗を防ぐ第一歩となります。
評価方法・データ出典
このページでは、日本在住の日本人個人が海外不動産に投資する場合を前提に、11市場を相対的に比較しています。GDP成長率や人口、住宅価格、賃貸利回りなど、数値で比較できる項目には客観データを使用し、単一の指標では判断しにくい項目については、複数のデータや市場環境をもとに評価しています。
評価の考え方
主な評価項目は、経済成長、人口動態、キャピタルゲイン期待度、インカムゲイン期待度、流動性、市場透明性、政治・制度の安定性です。キャピタルゲイン期待度やインカムゲイン期待度は、過去の住宅価格や賃貸利回りだけでなく、経済・人口動態、住宅需給、賃貸需要などを踏まえて総合的に判断しています。
税制と外国人による不動産取得規制は、収益性や取得できる物件の範囲に直接影響するため、上記の評価とは分けて比較しています。
主なデータ出典
- International Monetary Fund(IMF)
- United Nations World Population Prospects
- World Bank Worldwide Governance Indicators
- JLL Global Real Estate Transparency Index
- Global Property Guide
- 各国政府・税務当局・統計機関・不動産関連政府機関
※データの基準時点や対象地域、住宅タイプ、集計方法は、指標や市場によって異なります。また、税制や外国人による不動産取得規制は変更される場合があります。実際の投資にあたっては、最新の法令・税制・取得条件をご確認ください。
海外不動産を検討する前に読んでおきたい記事
よくある質問(FAQ)
Q1.経済成長率が高い国ほど不動産投資にも有利ですか?
必ずしもそうではありません。経済成長は住宅需要を支える要因のひとつですが、住宅価格は供給量、所得水準、金利、都市化の進展などにも左右されます。経済成長率が高くても、住宅供給が需要を上回れば価格が伸びにくいこともあります。
Q2.人口が増えている国なら住宅価格も上がりやすいですか?
人口が増えているだけで住宅価格が上がるとは限りません。見るべきなのは、住宅を必要とする人口がどの都市・エリアで増えているかです。都市への人口流入や世帯数の増加に対して住宅供給が不足していれば、価格や賃料を押し上げる要因になります。
Q3.賃貸利回りが高い市場ほど投資先として魅力的ですか?
利回りの高さだけでは判断できません。高利回りでも、空室が多い、中古物件が売れにくい、管理費や税負担が大きいといったケースがあります。実際に手元に残る収益と、将来の売却のしやすさまで含めて比較することが大切です。
Q4.住宅価格がすでに大きく上昇している市場は投資には遅いですか?
過去に大きく値上がりしただけで、投資時期が遅いとは判断できません。ただし、過去の上昇率が今後も続くとは限らないため、現在の住宅価格が所得や賃料に対して割高になっていないか、今後も需要に見合った供給が続くかを見る必要があります。
Q5.同じ国でも都市やエリアによって投資環境は大きく変わりますか?
大きく変わります。同じ国でも、都心部、ビジネス街、外国人居住エリア、郊外では、住宅需要や賃料、中古物件の流通量が異なります。そのため、国・地域の比較で候補を絞ったうえで、都市やエリア単位まで掘り下げることが物件選びの基本となります。
Q6.外国人が購入できる市場なら売却もしやすいですか?
購入できることと、売却しやすいことは別です。外国人による取得が認められていても、中古市場が小さかったり、外国人向け物件の供給が多かったりすると、買い手が見つかりにくいことがあります。購入時から、将来どの層に売却できる物件なのかを確認しておくことが重要です。
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海外不動産は、国や地域によって成長性や賃貸利回り、税制、外国人による取得条件などが大きく異なります。大切なのは、単純に「どこが良いか」ではなく、ご自身の予算や投資目的に合った投資先を選ぶことです。
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