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2019.09.05
【コラム】マニラ首都圏で進む地下鉄整備プロジェクトを解説!
フィリピンでは、今後のさらなる成長の礎を築くべく、ロドリゴ・ドゥテルテ前政権が大型インフラ整備計画「Build Build Build(ビルド・ビルド・ビルド)」を推進。後を継いだフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領も、大型インフラ整備計画「Build Better More(ビルド・ベター・モア)」を掲げてインフラ整備を重視する姿勢を示している中、まだまだ未発達な部分の多いインフラ面を改善するための開発が各所で行われています。
その目玉となるのが、深刻化する都心部の交通渋滞を緩和させるためフィリピンに初めて整備されることになる地下鉄計画です。そこで今回は、マニラ首都圏で進む地下鉄整備プロジェクトについて、その概要や予定ルートなどを解説したいと思います。
マニラ首都圏地下鉄「Metro Manila Subway」
フィリピン初の地下鉄整備プロジェクトとして2019年2月に着工したのが、マニラ首都圏地下鉄「Metro Manila Subway(メトロ・マニラ・サブウェイ)」です。
同地下鉄は、ケソン市の「キリノ・ハイウェイ」を起点に、「オルティガス」「ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)」といったビジネスエリアを経由し、空の玄関口「ニノイ・アキノ国際空港(NAIA)」第3ターミナルまで繋がる全長27km・15駅の路線で、開通するとキリノ・ハイウェイからNAIAまで35分程度で移動できるようになる見通しです。
第1フェーズとして、「キリノ・ハイウェイ」「タンダン・ソラ」「ノース・アベニュー」の北部3駅間のみ2025年に先行開業する予定で、全線開通は2029年までの実現を目指すとしています。
初期投入される19車両は9両編成となり、1運行で2,000人を運ぶことができる見通しで、部分開通後は1日当たり37万人、全線開通後は同150万人の利用を見込んでいます。
本プロジェクトの総事業費は約8,000億ペソ(約1兆6,800億円)と試算されており、現在建設が行われている第1フェーズだけでも約3,570億ペソの投資が行われます。2022年までに8兆ペソの投資を見込む「ビルド・ビルド・ビルド」の中でも、第1フェーズの事業費は単一の事業としては最大規模となるようです。
なお、メトロ・マニラ・サブウェイの整備には、日本から資金・技術の両面で支援が行われています。日本政府は2018年3月、国際協力機構(JICA)を通じてフィリピン政府と、メトロ・マニラ・サブウェイ(第1フェーズ)への1,045億3,000万円を上限とする円借款貸付契約を締結。すでに第1フェーズに対して、510億ペソの政府開発援助(ODA)を行っています。日本政府は事業の進捗状況に応じて支援を拡大させていく考えで、本プロジェクトの完工に向けて最終的には最大で6,000億円規模の円借款を検討しています。
また、第1フェーズの設計・建設は清水建設、フジタ、竹中土木といった日本の大手ゼネコンとフィリピンの財閥系建設会社EEIで構成する共同事業体(コンソーシアム)が行っており、最初の3駅と同区間の地下鉄構造、バレンスエラ車両基地、フィリピン鉄道訓練センター「Philippine Railway Institute(PRI)」などを手掛ける予定となっています。PRIは質の高い鉄道運営・維持管理のための人材育成を目的としたもので、その設立には東京メトロも参画することが発表されています。
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投稿更新日:2019年09月05日