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2017.08.10
【コラム】内藤忍氏/ 三井、三菱の進出で新興国は次のステージに変わる

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東南アジアの新興国と一言で言っても、それぞれの国によって成長段階は異なります。マレーシアやタイといった国々は、一人当たりGDPがそれぞれ1万ドル、5000ドルレベルに達し、すでに新興国と言うより中進国というべき成長フェーズです。

このような先進国に近い国々には、たくさんの日系不動産会社が進出していますが、三菱地所、三井不動産といった財閥系最大手のデベロッパーまで本格進出し、不動産開発を行っています。

逆に、同じ新興国でも、カンボジアのような一人当たりGDPが1000ドル程度で、成長段階の初期の国には、財閥系に限らず日本の大手不動産会社はほとんど進出していません。日系の不動産会社ではシティインデックスくらいで、タマホーム、東横インといった独立系の会社がホテル運営で進出しているのが目立つ程度です。

バングラデシュやスリランカといった国も、カンボジアと同様の経済レベルですが、日系のデベロッパーの進出はほとんど見られません。

マレーシアやタイのようなアジア新興国のフロントランナーと、カンボジアやバングラデシュといった後発組の間に挟まれているのが、フィリピン、ベトナムといった新興国です。フィリピンもベトナムも一人当たりGDPが2000ドルから3000ドル程度と想定され、マレーシアやタイのような経済レベルに向けて、今後急速な成長が期待できます。

その次のステージへの動きを象徴するのが、日系の財閥系不動産デベロッパーの進出です。2017年7月に三井不動産とフィリピンの大手財閥系不動産会社ロックウェル・ランドは共同で、マニラ近郊で不動産開発に乗り出すことを発表しました。これは三井不動産にとって、初めてのフィリピン進出になります。ロックウェルが80%、三井不動産が20%を出資し合弁事業を進め、ケソン市に総戸数1700戸の高層住宅を建設していくようです。

三井不動産は、タイやインドネシアなどで住宅を開発、マレーシアなどでアウトレットモールを運営しています。次の成長マーケットとしてフィリピンに注目しているわけです。

三菱グループは三菱商事を始めとするグループ各社がアヤラグループに出資し、フィリピンの不動産ビジネスに既に進出しています。三菱と三井が進出を果たしたことは、フィリピンに本格的な不動産物件が提供されるようになり、成長の次のステージに向かうことのシンボリックな動きと言えます。

ベトナムのホーチミンでは住友林業、野村不動産などの大手デベロッパーが不動産開発に乗り出していますが、財閥系大手はまだ進出していません。いずれ、三菱地所、三井不動産といった企業が進出していくことになるでしょう。

個人投資家が新興国の不動産投資を考える場合、国の選択がその成果を大きく左右します。それぞれの国を自分で調べて選択する手もありますが、このような日系デベロッパーの進出状況が、リスクを判定する上での参考になると思います。

日系企業がほとんど進出していないカンボジアやバングラデシュなどには、大きな可能性があるため、リスクも大きいと思います。逆にフィリピンのように、高い成長を続けながら日本からの企業進出が相次ぐような国の発展レベルと言うのは、リスクとリターンのバランスが取れた状態と考えることができます。そして財閥系企業までが進出するフェーズは新興国の成長の最終段階と言えるでしょう。

いずれフィリピンも、マレーシアやタイのような安定して成長する新興国に変わっていくはずです。その時には、リスクも低下しているでしょうが、成長率も鈍化し投資対象としての高いリターンは期待しにくくなってしまうでしょう。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。


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投稿更新日:2017年08月10日