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2018.05.07
【コラム】新興国不動産投資を待ち受ける「2つのリスク」

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新興国不動産投資は経済成長から得られるキャピタルゲインが大きな魅力ですが、ハイリターンが期待できる分、リスクも高くなります。

そのリスクの1つが為替です。今年に入ってから、南米のアルゼンチンペソの為替レートが対ドルで下落しています。年初から既に約2割下落しており、アルゼンチン中央銀行は通貨防衛のための利上げに追い込まれています。

2018年4月27日から8日間で実に3回の利上げを行い、昨日は政策金利をさらに6.75%引き上げ、政策金利は年40%という異常事態になりました。金利の引き上げ幅は、合計で12.75%に達しています。マーケットの混乱に中央銀行の対応が後手に回っている様子が見られます。

アルゼンチンに投資して日本人投資家は、ほとんどいないと思いますが、他人事と笑っている場合ではありません。他の新興国も同じようなリスクにさらされているからです。

新興国通貨はアメリカの利上げの影響で、対米ドルで売り込まれており、特に財政基盤の脆弱な通貨が売られています。ドル建ての債務のある国では、政府だけではなく民間企業の債務負担がドル高現地通貨安で大きくなっていきます。最悪の場合は債務返済が困難になり破たんするリスクがあります。

米ドルに対する年初からの騰落率を見ると、下落率第1位がアルゼンチンペソ、第2位がトルコリラ、そして第3位はロシアルーブルとなってます。

一般に、高金利通貨は高い金利と引き換えに大きな為替下落リスクを持っています。FXなどでスワップをコツコツ稼ごうと、このような高金利通貨の買いポジションをレバレッジをかけて保有すると、スワップ金利で稼げても、最終的に為替の下落で大きなマイナスになってしまうケースが多いのです。業界では「コツコツドカン」と呼ばれる失敗です。

南アフリカランド、トルコリラなどの高金利の新興国通貨だけではなく、オーストラリアドル、ニュージーランドドルなどの資源国通貨も高金利通貨としてFXでは人気です。しかし金利が高いと言うことは、それだけ資金調達に脆弱性があることの裏返しでもあるのです。高金利だけに目を向けて為替を取りに行くのはあまり賢明な戦略とはいえません。

このような高金利通貨の投資タイミングとしては、今回のアルゼンチンのように通貨が大きく売り込まれた時は逆張り投資のチャンスと言えます。しかし、通貨の下落がどこまで続くかを予想するのは難しく、底値で投資するのは勇気も必要で簡単ではありません。

東南アジアにも経常赤字で経済基盤がぜい弱な国がいくつか見当たります。このような国では、アメリカの金利上昇の影響を受けて、国外への投資資金の流出からの通貨の下落が起こるかもしれません。

そして、もう1つのリスクは建設ラッシュによる供給過剰です。ベトナム、カンボジア、フィリピンといった国では急速な経済成長に伴い、大量のコンドミニアムの建設が行われています。ホーチミンではセントラルパーク、プノンペンではザ・ブリッジといった大型物件が完成時期に差し掛かり、この手の大規模物件になると、一挙に数千戸が完成して市場に出回ることになります。

購入された物件の多くが投資用で、賃貸物件として市場に大量に出回ることから、賃貸マーケットが値崩れして、テナントが付かない状態が発生することもあり得ます。短期的には空室によって想定していた家賃収入が得られないケースも出てくると思います。

しかし、ここに挙げた通貨リスクや供給過剰リスクは、長期的な経済成長によって、いずれ吸収されていくことになります。アメリカの利上げのペースが現在の想定以上に急激にならなければ、影響は限定的と思われますし、供給過剰も経済成長によって需要が増えてくればいずれ吸収されていきます。

長期でリターンを得たい人にとっては、新興国不動産投資はこれからも魅力的な投資対象と考えられるのです。

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投稿更新日:2018年05月07日