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2017.02.03
【コラム】内藤忍氏/ トランプ政権誕生に伴う資産運用への影響

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トランプ大統領誕生に伴うアメリカ国内の混乱が続いています。1月下旬に大統領が署名した難民・移民の制限に関する大統領令には、国内外から反発の声が強く、「行き過ぎ」との意見が強くなっています。アメリカ政府がこれから打ち出す政策に対する不透明感と、国内の政治的な対立による混乱への懸念から、国内だけではなくグローバルな株式市場へのマイナスの影響も出てきています。

就任直後から矢継ぎ早に大統領令を出している新政権の姿勢から分かるのは、トランプ大統領が早期に結果を出そうとロケットスタートをかけていることです。大統領選挙が接戦で決まり、共和党内も一枚岩になっていなかったこともあり、政権発足直後からトランプ大統領の支持率は高くありません。支持率を上げるためには政策で結果を出すしかないのです。

トランプ大統領が就任から1週間で署名した大統領令は、オバマ前大統領の記録を上回る過去最高の数になっています。その背景には、低い政権支持率を実績をあげることによって回復させたいというトランプ氏の意向が強く働いていると思われます。

発表された政策の中には市場に好感されるものも含まれています。例えば、エネルギー開発などは、オバマ政権とは方向転換した内容ですし、アメリカ国内への製造業の誘致は国内経済にはプラスの影響が期待できます。何より、今までのアメリカを変えるという、変化に対する期待が、昨年後半からの株式マーケットの上昇や、為替のドル高を生み出してきました。

しかし、未来が想定できない展開になると、期待が不安心理に変化し、リスクに対して慎重になる人が増えてきます。リスクオフの動きが優勢になって、株価の下落やドル高の修正といった局面が現れることになります。

個人的にはこのような不透明感からのマーケットの調整は長くは続かないと思っています。むしろ、一時的な調整は、押し目買いのチャンスになるかもしれないと考えます。

その理由は、アメリカ経済のファンダメンタルズが極めて良好であることです。さらに、今後の利上げや製造業のアメリカ回帰の動きが出てくれば、米国経済は堅調に推移し、資金流入に伴ってアメリカドルも上昇する可能性が出てくるのです。これは、アメリカだけではなく、米ドルにリンクする通貨を採用する新興国の不動産投資家にとってもプラスの材料になります。

新政権の幹部やトランプ氏自身からドル高に対する懸念を発言しているケースもありますが、その思惑とは裏腹に米国への資金流入が続きドルはこれからも堅調な動きを続けると想像します。過剰な円高リスクは考える必要はないかもしれません。

トランプ大統領の発言で注意すべき点は2つあります。1つは、交渉を有利に進めるために、あえて過激な発言をする傾向があることです。高めのボールを投げることで、有利な落としどころを見つけていく。心理学でアンカリングと呼ばれる方法ですが、交渉術の基本です。
過激な発言を額面通りに受け止めるのではなく、その裏にある真意を常に考えることが本当の政策意図を知るために必要になります。

もう1つの注意点は、トランプ氏とメディアの対立です。トランプ氏は選挙活動中からツイッターを使って情報発信をして、メディアの存在価値を否定するような発言も繰り返してきました。投資家にとって気がかりなのは、トランプ政権とメディアの対立から、配信される情報が歪められて伝えられてしまうリスクです。どの情報が、正しいのか見極める力がこれまで以上に求められることになるでしょう。

話をまとめると、私は今回のトランプ大統領の誕生は、海外不動産投資にとってマイナスにはならないと思っています。混乱によって一時的な相場の下落や円高があったときは、むしろ投資のチャンスになる可能性もあります。

大きな歴史の流れで捉えると、トランプ大統領の誕生はアメリカ国内の変化だけではなく、世界経済が大きく変わる転換点にあることを示していると思います。グローバリゼーションに対する行き過ぎた動きの修正、それからメディアに対する不信感。このような状況があいまった現象と捉えるべきでしょう。

アメリカ以外でも、今後似たような動きが出てくることが予想されます。そのたびに、マーケットは不安心理が台頭して変動するかもしれません。しかし、過剰に反応せず、本質を冷静に見極めることが大切だと思っています。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。

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投稿更新日:2017年02月03日