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2022.04.15
【コラム】止まらない円安、海外資産の重要性を再認識

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ルーブルよりも弱い円、20年ぶりの円安水準に

コロナ禍入りして以降、じわりと続いてきた円安ですが、ここにきて歯止めがかからない状況となってきています。年初に1ドル=115円程度だったドル円相場は、4月15日現在、一時126.50円台を付けて約20年ぶりの円安水準にまで上昇しています。

特に、この2ヵ月ほどは完全に円の一人負けの様相で、経済制裁を受けているロシアのルーブルよりも弱い動きとなっていることから、「日本が制裁を受けているみたい」なんていう笑えない話も聞かれているようです。

節目として意識されてきたアベノミクスの円安誘導政策下で付けた2015年の高値をあっさり突破したことで、エコノミストからは「130円台に乗せるのも時間の問題」との声も出てきています。

USD/JPYの為替チャート

円安要因その1「中央銀行の政策スタンス」

足元の円安の背景には、大きく2つの理由があると考えられます。1つ目は、アメリカを中心とする諸外国の中央銀行との政策スタンスの差です。

例えば、アメリカの金融政策を担うFRB(連邦準備制度理事会)は、足元のインフレに対応するため、今年3月から利上げを開始しています。今後も前例のないペースで利上げを行う見通しで、従来の実質ゼロ金利(0.00~0.25%)から年内に2.50%前後まで引き上げることが予想されています。

また、コロナ禍の経済を下支えするため、アメリカでは大規模な量的緩和策(QE)がとられましたが、こちらも早ければ5月から量的引き締め策(QT)に転換する見通しとなっています。さらに、この他の国でも、コロナ禍で進めた緩和的な金融政策を引き締める動きが多く見られています。

一方、日本でもインフレの足音は聞かれ始めていますが、日本銀行の黒田総裁は利上げの必要性はないとするばかりか、むしろこの期に及んでもさらなる緩和を辞さない構えを見せています。また、足元の円安についても容認する発言を行っています。

通貨の番人である日銀のこうしたスタンスは、為替市場において恰好の円売り材料であり、今後、一段の円安も警戒されます。

円安要因その2「経常赤字転落への懸念」

もうひとつの円安の背景としては、今年の日本経済が42年ぶりに通年での「経常収支」の赤字に転落する可能性が出てきていることが挙げられます。すでに単月では、昨年12月と今年1月は経常赤字となっています。

経常収支とは、一定期間における海外とのモノやサービスの取引、投資収益(金融資産取引は除く)のやりとりなど、経済取引で生じた収支を示す国際統計であり、その中で大きな割合を占めるのが輸出入の収支を示す「貿易収支」と、対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等や雇用者報酬の国際収支を示す「第一次所得収支」です。

一般的には、経常赤字になると海外からの収入よりも海外への支出の方が多くなり、円を売って外貨を買うといった力が強まるため、通貨安要因だと認識されています。経常赤字が円安を促し、円安が経常赤字を拡大させるという悪循環に陥る可能性がある点は怖いところです。

2002年~2011年までの10年間において日本は、世界最大規模の対外債権が累計124兆円もの第一次所得収支の黒字を生み出しただけでなく、高い輸出競争力によって貿易収支も96兆円の黒字を記録していました。しかし、2012年~2021年までの10年間を見ると、中国・韓国・東南アジア諸国の台頭や生産の海外移転などもあり、貿易収支は7兆円の赤字に転落。第一次所得収支の194兆円の黒字にカバーされて経常黒字は維持されましたが、その額は縮小傾向にあります。

すでに貿易で稼げる国ではなくなっていたところに、今回の原油や天然ガスなどのエネルギー高に伴う輸入額の急増が加わった結果、通年での経常赤字という歴史的な出来事が現実味を帯びてきているわけです。

日本の経常収支構造

以前なら、地政学リスクが高まっているような環境では、経常黒字国で国内情勢も安定している日本の円は安全資産だとして「リスク回避の円買い」が行われていました。しかし、現在そうした動きが全く見られないのは、経常赤字への懸念、さらにはその先にちらつく「成熟した債権国」から「債権取り崩し国」へのステージの移行の可能性といった背景があるのかもしれません。

現在のところエコノミストの間では、足元の経常赤字は一時的なものであり、エネルギー価格が落ち着けばまた黒字に戻るとの声の方が優勢です。ただ、昨今のエネルギー価格高騰の根本的な原因は、脱炭素を掲げて化石燃料の採掘への投資を止めてしまったことにあるため、今後も価格の上昇・高止まりは続くとの見方は多く、一部のエコノミストは日本の経済構造やエネルギー政策が変わらなければ、経常赤字の慢性化はあり得ると指摘しています。

円安リスクを回避するには海外資産への分散投資が重要

円ベースでは見た目上の変化がないため、日本で生活していると気付きにくいですが、急激な円安は日本人の国際的な購買力を大きく低下させ、相対的に貧しくなることを意味します。

このコラムの読者の多くは、すでに海外資産を大なり小なり保有していることと思いますので、釈迦に説法かもしれませんが、こうした円安リスクを緩和させるためには、ご自身の資産を円資産だけで保有せず、海外資産にも分散させた形で保有するのが重要です。

ここで問題となるのは、資産ポートフォリオの中でどの位の割合を海外資産に振り向けるべきなのかという点だと思います。しかし、専門家であるエコノミストですら見方が割れているように、将来の為替相場を予想するのは簡単ではありません。

そのため、円安・円高のどちらに動くのか見当がつかないのであれば、「円資産50%:海外資産50%」とし、為替変動に対してできる限りニュートラルな状況を作るのが合理的な行動と言えます。この割合をベースに、ご自身の考えやライフスタイル、ライフプランに応じて割合を少し上下させるのもありだと思います。

世界情勢は混沌としていますが、「卵はひとつのカゴに盛るな」の投資格言の通り、海外資産を含めた分散投資によって、ご自身の大切な資産を守っていきましょう。

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投稿更新日:2022年04月15日