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2016.05.02
【コラム】内藤忍氏/ 円高で海外不動産投資はどうする?

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ここ数年、アベノミクスによって急速に進んだ円安が、今年に入ってから逆方向に動き始めています。2016年1月末に発表したマイナス金利政策は、金利差が拡大することによる円安という思惑とは逆の円高に作用しました。120円台半ばだったドル円レートは、110円を割れる円高水準まで急速に進みました。

4月下旬からは月末の日銀の追加緩和期待から円安がジワジワ進み、111円台後半まで進む展開となりました。ところが、4月28日に開催された日銀の政策決定会合では、追加政策が見送られました。マーケットの失望感から、再び円高が進み、4月末は1ドル=106円台前半で終了しました。それに伴い、ユーロも対円で円高になり、日本の株式市場も急落しています。

黒田総裁になってから、市場の期待を上回る「サプライズ緩和」を続け円安株高によるデフレ脱却を進めてきました。今回も、金融政策決定会合の前から、黒田日銀総裁が「必要ならちゅうちょなく追加緩和する」と言い続けてきたことから、マーケットには追加緩和期待が大きく高まり、それが裏切られたことが変動を大きくしたのです。

今後も日銀は金融緩和を継続していくと思いますが、その効果に陰りが出てくる可能性もあります。また、量的緩和、質的緩和に加えて、マイナス金利という3つ目の方法を組み合わせていますが、一段のマイナス金利に対してはその効果に対する疑問もあり、金融界からの強い反発もあって、追加で政策決定をすんなりできるとは限りません。

さらに、ファンダメンタルズを見ても、円高要因が増えてきています。日本の経常収支が黒字基調に変化してきており、実需の世界では円の買い圧力が強まっています。また、輸出企業の想定レートも1ドル=110円前後の会社が増えており、金融政策によって円安に振れても輸出の売り圧力が一段の円安を阻止する構造になってしまいました。

為替の将来予想をするのは簡単ではありません。しかも海外不動産投資を行っているような長期の投資家の場合、問題になるのは1年先の為替レートではなく、最低でも5年から10年後の数字です。現時点で5年後、10年後の為替相場を予想できる人はどこにもいないのです。

大切なことは、相場の予想よりも自分の資産を円高・円安によって影響されない構造に持っていくことです。円資産と外貨資産を50%ずつ保有する「ニュートラル」な通貨配分にすれば、円高・円安どちらに振れても資産の変動を抑えることができます。

そして円高になれば円資産の価値が相対的に上がりますから、外貨資産を積み増す。逆に円安になれば外貨資産の価値が相対的に上がるので、円資産を積み増す。このようなリバランスを定期的に行いながら、資産全体の外貨比率をコントロールすることで安定した資産形成を続けることができるのです。

長期で資産運用を実践している個人投資家は、短期的な相場変動に影響される必要はありません。マーケット参加者の不安心理による不安定な動きに関係なく、自分の運用方針に基づき淡々と資産運用を続けていくだけです。むしろ、円高は将来に向けて外貨建て資産を安く手に入れることができるチャンスなのです。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。

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投稿更新日:2016年05月02日