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2016.06.02
【コラム】内藤忍氏/ 新興国の政治リスクは以前に比べると小さくなっている

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フィリピンの新しい大統領に、ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏が選ばれました。ダバオはフィリピン第3位の都市ではありますが、中心部でも高層ビルは数えるほどの地方都市。地方の街の首長が国のトップに上りつめたことは、フィリピンの国内に現状に対する変化を求める声が強いことを示しています。

ドゥテルテ氏が有権者から高い評価を受けた理由は、ダバオ市において薬物汚染や強盗犯罪を20年以上、厳しく取り締ることで同市の治安を劇的に改善したからです。圧倒的な実績が、現状の政治に対する不満と結びつき、実行力に期待する有権者の心を掴んだといえるのです。

米国の大統領選挙でも、大方の予想に反して共和党のドナルド・トランプ氏が大きな支持を集め、海外メディアが驚きの声をあげています。

しかし、フィリピンもアメリカもその現象の裏にあるものは共通していると言えます。それは、現状の政治体制に対する強い不信や不満です。先進国と新興国という違いはあっても、その根底にあるものは共通しています。国民の「フラストレーション」が変化を作り出しているということです。

フィリピンは、高い経済成長によって、国民が急速に豊かになってきていますが、貧富の差が開いているという問題を抱えています。経済成長のメリットを享受しているのが、マニラのような大都市圏だけで、地方に行くと成長の恩恵を受けていないと感じる国民が多いようです。また、中間層以上でも高い成長率の弊害として交通渋滞が悪化したり、インフラの整備が成長に追いつかない状態に不満があるようです。

以前に比べると汚職は減ったようですが、今なお政治家や警官といった公職についている人たちの腐敗に対する国民の厳しい批判があり、それが選挙の結果につながった点も否定できません。

過激な言動で知られ、「フィリピンのトランプ」とも呼ばれるドゥテルテ氏ですが、就任後は、選挙中の過激な言動が変化していく可能性が高いと考えています。高い経済成長を実現した今までの経済政策に関しては、国民の多くは評価をしており、それを急激に変えるより、今までのやり方を踏襲していくことを選択するはずです。

また未知数といわれる外交政策も対中の過激なコメントがありましたが、軍事的な緊張を望んでいるとは思えず、こちらも現実的な政策を取る可能性が高いと予想します。新しい政治体制に変わったフィリピンですが、今までの投資環境が大きく変わることは考えにくいでしょう。

新興国は先進国に比べ、指導者の交代によって投資環境が大きく変わるリスクが高いと言えます。しかし、多くの国が形式的にだけではなく実質的にも民主主義によって運営されるようになり、国民の意識も高まるにつれ、安定的な経済運営を求めるようになってきました。

経済政策や各種の規制の急激な変化は、海外投資家の不安心理を高め、投資資金の流出をもたらすことになり、自国経済にとってメリットにならないことが、新興国において理解され始めたということです。経済のグローバル化によって、各国の経済的なつながりが密になればなるほど、その影響は大きくなります。

国内の格差の解消に取り組みながら、インフラ整備などの投資を進め、国民の不満を解消しながら引き続き堅実な経済成長を実現できれば、政治的に安定するだけではなく、国外からの投資のパフォーマンスも大幅に向上することが期待できます。

フィリピンの政治体制の変化は、不安定要因というよりは、将来に向けてのポジティブな可能性も秘めていると考えた方が良いでしょう。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。

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投稿更新日:2016年06月02日