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2016.12.09
【コラム】内藤忍氏/ アメリカの利上げの新興国への影響

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アメリカの利上げの可能性が高まってきました。12月2日に発表された11月米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比17万8000人増え、失業率は前月から0.3ポイント低い4.6%と、2007年8月以来の低水準となり、雇用情勢の好調が確認されました。10月の雇用者数の伸びが下方修正されたり、11月の平均時給が前月比で低下したことはマイナスの材料ですが、方向性に大きな影響はないと思われます。

マーケットではアメリカが利上げをすることによる新興国経済への打撃が懸念されています。米国の金利が上昇することで、相対的に新興国の高成長と高金利の魅力が低下。資金が新興国から流出してアメリカに還流することで、新興国通貨の下落や投資資金の不足といった事態が発生するという思惑です。

また、新興国企業の債務も問題になります。アメリカの低金利を背景に、新興国企業のドル建ての借り入れは膨らんでいます。その額は、この10年間で4.5倍、18兆ドルに膨らんだと言われています。アメリカの利上げによって米ドルが上昇し、相対的に新興国の通貨安が進むと、実質的に返さなければならない借金が大きくなります。新興国企業で大規模な借入を行っている会社が返済危機に陥るのではないかという不安が広がっているのです。
しかし、本当にこのような懸念が、全ての新興国に当てはまるのでしょうか?

アメリカの年内利上げの可能性が高まると共に、下落していったのはブラジル、インドネシア、トルコ、南アフリカといった国々です。国内経済に問題を抱え、経常収支が赤字の国が含まれています。これらの中には国内景気の刺激のために低金利を維持する必要があるにも関わらず、通貨防衛のために利上げをしなきゃならない状況に追い込まれている国もあります。

例えばトルコです。11月下旬にトルコ中央銀行は約3年ぶりの利上げを行いました。3月から国内の景気刺激と雇用創出を目的に利下げを続けてきましたが、利上げに転じたのは通貨の下落に対する懸念からです。また、インドネシアやブラジルは為替介入により自国通貨を買い支える状況に追い込まれています。新興国は利下げをすれば自国通貨安を招くという懸念から、国内経済に対して金融政策が発動できない状態になっているということです。これは今後の成長率上昇の足かせになることが予想されます。

さらにメキシコは、トランプ大統領誕生後に保護主義政策から対米輸出にマイナスの打撃を受けるとの思惑から、通貨メキシコペソはアメリカ大統領選中の2週間あまりでドルに対して11%超の下落となりました。メキシコの中央銀行もペソ安に対抗するために、連続した利上げに踏み切るとの観測が出ています。

このようにアメリカの利上げが新興国経済にマイナスの影響を与えているのは事実です。しかし、例えばフィリピンのように国内経済が堅調で、経常収支が黒字になっているような新興国の通貨は利上げによる影響は相対的に小さくなっています。また、経済成長が続くカンボジアも、ドルが流通通貨となっており為替変動の影響は直接的には受けない構造になっています。

アメリカの利上げによる影響は、新興国それぞれの経済のファンダメンタルズによって変わってくることが予想されます。海外への投資を検討している投資家にとっては、それぞれの新興国の経済情勢を丁寧に分析して投資対象を絞り込むことがこれまで以上に重要になると思います。

日本の個人投資家が投資対象としている新興国の中では、フィリピン、ベトナム、カンボジア、スリランカといった国々は、アメリカの利上げの影響を短期的に受けることはあるかもしれませんが、良好な国内の経済のファンダメンタルズが長期的な成長を維持するよう機能すると考えています。

長期投資で考えている投資家にとっては、通貨安や現地の不動産価格の下落があれば、投資のチャンスと言えるかもしれません。

※本コラムは、マネックス証券の創業にも参加された、資産デザイン研究所代表取締役の内藤忍氏より寄稿頂いた原稿を基に構成しています。


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投稿更新日:2016年12月09日